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再生医療(幹細胞療法)とは

>幹細胞療法(臨床研究)とは

近年、新しい治療法として「再生医療(幹細胞療法)」が注目されています。

幹細胞療法は、ヒトの医療では数年前から本格的に実用化されていますが、獣医療でも新しい治療法として世界中で研究されています。

幹細胞療法とは生きた細胞を体内に投与する治療です。この治療法では、イヌやネコ自身が本来持っている自然治癒力や自己修復能力を利用します。

従来の治療法では次第に効果が失われていったり、副作用が強く治療を続けられなくなったりすることがあります。そのような場合に、幹細胞療法であれば、新たに治療の効果を期待したり、副作用を抑えて治療を継続したりできる可能性があります。




自家細胞と他家細胞の違い

自家細胞移植
他家細胞移植

幹細胞療法では、患者(イヌ・ネコ)自身の組織を採取して細胞を培養し、元の身体に戻す方法を「自家」細胞移植といい、他の個体から採取された組織から培養した細胞を患者に投与する方法を「他家」細胞移植といいます。

一般的に、他家の細胞は、患者の免疫により直ちに排除されてしまいますが、間葉系幹細胞(以下、MSC)は排除されにくい性質を持っていて、他家細胞移植が可能となっています。

他家細胞移植のメリットは、あらかじめ保管しておいたMSCを必要なときに用意できる点です。

そのため、当組合の幹細胞療法(臨床研究)では、他家細胞移植を採用しています。




投与方法

点滴投与:通常の点滴と同様に、血管へ細胞を投与します。(麻酔の使用はありません)
局所投与:効果を期待したい場所に注射を用いて細胞を投与します。(麻酔が必要な場合もあります)


当組合の幹細胞療法(臨床研究)の細胞投与は点滴を中心に行っております。

※疾患によっては、局所投与を推奨するものもあります。

点滴は一般的な手術や麻酔を伴う局所投与などに比べると体への負担が少なく、多くの場合は腕の血管(一般の動物病院で採血する血管)等へ投与することで終了します。

検査や点滴投与などの一連の処置は半日〜1日程度で終了します。



スペシャリストによる品質管理

スペシャリストによる品質管理(1)
スペシャリストによる品質管理(2)
スペシャリストによる品質管理(3)

安全かつ均一な間葉系幹細胞(MSC)を提供するために、ヒトの再生医療の基準を踏まえた設備・規格等で、適切に清浄度管理された細胞培養施設を用いて、獣医師と共に専門技術員が培養・管理しています。




臨床研究対象疾患

2022年4月現在、当組合で実施している幹細胞療法の臨床研究対象疾患は、以下の通りです。

イヌ

消化器疾患 慢性腸症(CE)
肝胆膵疾患 肝炎、膵炎
血液疾患 免疫介在性溶血性貧血(IMHA)、免疫介在性血小板減少症(IMTP)、非再生性免疫介在性貧血(NRIMA)、赤芽球癆(PRCA)、再生不良性貧血(AA)
内分泌疾患 糖尿病
泌尿器疾患 慢性腎臓病、急性腎障害
神経疾患 椎間板ヘルニア、非感染性髄膜脳脊髄炎、外傷性脊髄損傷
骨・関節疾患 関節炎(変形性関節症・免疫介在性多発性関節炎)
皮膚疾患 アトピー性皮膚炎、天疱瘡(尋常性、落葉状)
眼科疾患 乾性角結膜炎


ネコ

消化器疾患 慢性腸症
肝胆膵疾患 胆管肝炎、膵炎
血液疾患 免疫介在性溶血性貧血(IMHA)
内分泌疾患 膵炎続発性糖尿病
泌尿器疾患 慢性腎臓病、急性腎障害
呼吸器疾患 喘息
神経疾患 非感染性髄膜脳脊髄脳炎、外傷性脊髄損傷
骨・関節疾患 関節炎(変形性関節症、免疫介在性多発性関節炎)
皮膚疾患 天疱瘡(尋常性、落葉状)
口腔疾患 慢性口内炎
感染症 猫伝染性腹膜炎 ※wet型のみ

上記以外の疾患についても、順次拡大していく予定です

症例紹介

※写真データは当組合加入病院であるアニコム先進医療研究所(株)動物再生医療センター病院の提供。

犬:慢性腸症

症例紹介

慢性腸症とは、腸に原因不明の炎症がおこり、食欲不振、嘔吐、下痢といった症状が長く続く病気です。この写真のワンちゃんは慢性腸症ですっかり痩せてしまった12歳のビーグル犬です。

ごはんを食べても十分に栄養を吸収することができず、肋骨が浮き出ており、ウエストもほとんど肉が無い状態でした。一般的な治療では効果がみられず、以前は10.0kg以上あった体重が5.8kgまで落ちてしまいましたが、幹細胞療法実施から2年後には腸から栄養を吸収できるようになり、体重も11.0kgまで増やすことができました。

犬:乾性角結膜炎

症例紹介

乾性角結膜炎とは、いわゆるドライアイで、涙が少なく目の表面に炎症を起こしてしまう病気です。

この6歳のキャバリアも、一般的な治療では改善することができず、目が赤くなり、濁ってきてしまいました。

幹細胞療法実施から、わずか3週間後に涙の量が改善し、目の赤みや濁りがかなり改善したことが分かります。

犬:アトピー性皮膚炎

症例紹介
症例紹介

アトピー性皮膚炎とは、外部寄生虫や感染症などの感染がなく、ハウスダストや空気中のカビ、花粉など本来は無害なはずの環境からの刺激に対して、過剰に反応してかゆみがでる病気です。

この12歳の柴犬も、全体的に脱毛・皮膚の赤みがあり、顔の毛も減り目の周りが黒っぽく見えていました。

幹細胞療法実施(3ヶ月後)から、目に見えて毛の量が増え、顔の毛もしっかりしてきました。皮膚の赤みもほとんど見られなくなりました。

Q&A

間葉系幹細胞(MSC)とは?
体内には、さまざまな組織に変化する細胞が存在し、この細胞は幹(かん)細胞と呼ばれています。
幹細胞療法(臨床研究)のメリット・デメリットは?
【メリット】
一般治療において効果・改善が見られない一定の疾患を対象に、主に体の炎症を抑えることで状態の改善を期待する治療法となっております。

【デメリット】
治療効果が見られない場合や血管内に幹細胞を投与することにより、血栓塞栓症もしくはアレルギー性の副作用が出る可能性があります。
PARMの臨床研究に参加するために費用はかかるの?
はい。PARMの臨床研究は、診療の一環で行われるため、飼い主様には研究における細胞を用いた動物への処置の実費等のご負担をいただいております。なお、ワンちゃん・ネコちゃんの状態や動物病院によって費用が変わりますので、詳しくは担当の獣医師にご相談ください。
幹細胞療法(臨床研究)ができる病院はどこにあるのでしょうか?
下記URLよりご覧いただけます。

【当組合加入動物病院】 https://parmcip.jp/hospital/
かかりつけ動物病院が組合の加入病院ではないが、幹細胞療法(臨床研究)はできないのか?
当組合の中で幹細胞療法(臨床研究)を行うことのできる病院は、組合加入動物病院のみとなっております。
そのため、当組合に加入いただいていない動物病院様では提供することができかねます。
ただ、未加入の動物病院様にお取り扱いのご提案をさせていただくことも可能でございますので、ご希望の際は当組合へご連絡いただけますようお願いいたします。
※その場合、お客様のお名前を使わせていただくこと、ご加入の確約できないこと、ご了承ください。



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